ABOUT WIP

WIP展は、来春に開催される先端芸術表現の卒業・修了作品展の制作過程を開示する展覧会です。
「Work In Progress―進行中―」。
目の前にありながら、まだ掴めない靄(もや)のような、絶え間ない試行錯誤と表現への情熱がそこにはあります。私たちはその制作過程をあえて見せることで、自らの表現を提示し、更なる作品の更新を試みます。無限の可能性を秘めた、“今”が詰まった約50の制作過程をどうぞご覧ください。

会期:7/11(月)~7/15(金) 11:00~17:00
ゲスト講評日:15日(金) 12:00~17:00
クロージング・パーティ:15日(金) 17:30~19:00
会場:〒302-0001 茨城県取手市小文間5000番地 東京芸術大学取手キャンパス
お問い合わせ:sentan2017@gmail.com


NEWS

2016年07月29日

【WIP】伊藤亜紗さんインタビュー

 

 

 

7/11~7/15の5日間、学部4年と修士2年による展覧会「WIP展」が開催されました。最終日の講評会では、ゲストに伊藤亜紗さんをお招きし、5時間にわたりアドバイスをいただきました。まとめとしての総評の様子をこちらで紹介いたします。


Q.今回のWIP展を全体を通してご覧になって、どのような印象を持たれましたか?

A. 総評の詳細メールをもらったときは、12:30から5時間も話さなきゃいけないとのことで、すごく辛い日になるな、と覚悟してたんですけど(笑)終わってみると全然辛くなかったという印象がありました。多分皆さんの方が、身を削って作品作って、かなり疲れた表情も見えるので大変だったかと思います。私自身は、とても楽しく総評をさせていただきました。多分皆さんは、お互いの作品をいつも見てるわけですよね?どういう経緯があって、この作品ができたかがわかった上で、互いの作品を見てると思うんですけど、私は一切それを知らないので、実はすごいアウェイ感がありました。普段みんなが考えてることと違う角度で言ったりとか、余計なこと蒸し返したりとかあったと思うんですけれども、的外れでなかったことを祈って今ここにいる感じです。

WORK IN PROGRESSという名目になっていますが、私にはそうではありませんでした。みんなにとっては、今日の作品は今後に展開してく模型みたいなものだと思うんですけど、私は外部からそのプロセスに今日だけ入ってきた立場なので、今日見えている限りを完成品として見せてもらって講評したという感じです。なので「ここはヒントになる」みたいなところがあればそれを活かして、最終的な作品を作ってもらえればと思います。

私自身はもともと、新宿美術学院で作品を講評する仕事を5年くらいしてて、今は東京工業大学でアート の香りがほぼしない環境にいます (笑)。私は理系だったので、そういう意味では知ってる環境ですが、多くの場合は、アートに関して敬意も興味もほとんどない学生に向かってアートの話をしています。つまり私は普段はここ藝大とは対極の環境でアートについて考えているので、その立場から見た話をしようかなと思ってます。

【リサーチに対する意識を持つ】

一般には、アートを社会の中での特殊な営みと捉える考え方もありますが、私はそうは思っていません。今日、皆さんのそれぞれの持ち時間が12分間あるという中で、最初の2分で、作品の「解説」ではなく「リサーチクエスチョン」を話してもらいました。いま私は研究をしてますけども、多分皆さんのやっている、制作するという活動とあまり変わりません。研究するってどうやるかって言うと、まず問いをたてますよね。クエスチョンがあって、リサーチします。そしてアウトプットするわけですよ。だいたいこの三段構えです。作品づくりも、同じモデルで考えられると思うんです。今日皆さんの作品をこれに当てはめてみたんですけど……リサーチ、どうですか?人によって意識してる人と、あまりしてない人がいる印象です。アートって、自分の興味を、あまり方法論がないままアウトプットに繋げる、というふうになりがちなんじゃないかと思ってます。

学問は分野がありますよね。文学、美学、社会学、経済学、文化人類学、法学…いっぱいジャンルがあるわけですけれども、それって何で分かれてるかというと、このリサーチの視点と方法で分かれているわけですよ。対象じゃなくてね。例えば人間について考えるとか、生と死について考えるとか、テーマは同じでも学問の分野が変われば、どういう方法で何についてリサーチしてくるかが変わるわけです。文学部だと文学的な文献調査が中心です。文化人類学だったらフィールドワークを行うでしょう。統計を取るっていうのもありますよね。何万人とかにアンケート用紙配って、その結果を回収して、データを解析する。そうすると、一般的に思われていたのと違う結果が出たりします。統計学はいま学問としてとても強いですね。文学、社会学など、さまざまな分野に影響を及ぼしている方法論です。

あとは、実験してみるというのもありますね。実験って実験室で試験管を振るだけじゃないですよね。たとえばある地域だけ税金を下げてみてその結果どうなるかっていうのを調べるような、社会実験みたいなものもありますよね。シミュレーションという方法もありますね。例えば、宇宙がどうできたか。そういう問いだと、統計も取れないし、文献ももちろん無いし、フィールドワークもできないし、実際にここでビッグバン起こす実験もできません。それでどうするかっていうと、シミュレーションするわけです。たとえば雲のでき方を調べて、そこから統計をとって、銀河のでき方をシミュレーションする、というようなことをしています。宇宙とか、人間とか、生物とかなんでもいいんですけど、ある問いがあったとして、それをリサーチする方法はいっぱいあり得るんですよね。そういう方法論に対する意識が、けっこうアートって弱くなりがちだと思うんです。

アート系の学部に来ると、アウトプットの方法はいろいろ学ぶと思うんですよね。実際、学部もメディアごとに分かれていますね。絵画とか彫刻とか。そんなふうにアウトプットに重心がある環境だから、逆にリサーチの部分をしっかりやっていくと、強みになると思います。

いや、本当にやっかいなのは、曖昧な形で「アート的な方法論」っぽいものがあるということですね。例えばさっきの講評の中で身体性っていう話を突っ込んでしたんですけれども、アートが身体について扱うときに、特定の傾向がある気がしていて、それが身体性という言葉に現れてる気がするんです。すごく曖昧に「身体性」って言葉で言い表してるけど、実質誰もあんまりよく分かってないんじゃないか。でも身体ってことに興味があるなら、別に身体性という言葉に頼らなくても、いろんな方法はあるわけで、別の方法試してもいいと思うんですよね。最後のアウトプットが作品だということを前提にし過ぎるあまり、リサーチが意識的になされなかったり、曖昧に、アートっぽいアプローチに引っ張られたりしがちだと思うんです。そこを注意してほしい。それが今日感じたことの1つ目です。リサーチの方法論を考えてほしいということですね。

【人を頼り、力を借りる】

それから、皆さんの作品を見てると、素手でやってる感じっていうのがあります。1人1人の経験から来るカンのようなものだったりとか、方法の手前の、 自分なりの嗅覚みたいなもので、問いとアウトプットを連続させていってる感じがするんですよ。その方法でもすごく精度が高ければいいんだけど、何年っていう歴史のある〇〇学に負けないのってすごく大変だと思うんですよね。リサーチをしてるんだから〇〇学がみなさんの作品のライバルだっていうのを意識してほしい。

でもライバルなんだけど同時に、競う必要はなくて、どんどん活かしたらいいと思うんですよ。基本的に皆さん1人で作ってましたよね。もちろんちょっとした手伝いとかはあったと思うんですけど、半径の5メートルの範囲で問いを深めようとしてるところがあって、もっと人に頼った方がいいんじゃないかなという気がします。頼るっていうのは共同制作をするっていうだけではなくて、分からないことをどんどん人に聞きに行ったりしていいと思うんですよね。

私は最近目の見えない人について研究してるんですが、自分の研究を考えても、当事者(視覚障害者)に協力してもらうし、そこで得たいろんな発見を最終的な形にするとき、もちろん論文にするのも一つのアウトプットなんだけれども、それだけじゃないんです。何かデバイスを作ったりしたいなって思ったとき、私はそういうのを作れないので、エンジニアに協力して何か作りましょうという話になることもあるし、ワークショップをするってなったら、その専門家に質問したりします。作品に関しても、同じように協力をあおいで問いを深めていくということはアリなんじゃないかと思います。専門家はもういろんなことを発見してくれているので、全部自分で考える必要はないんです。

人に頼るというのは、その人の ネットワークにかかっています。日本の大学って特殊で、美術大学が孤立していますよね。アメリカの大学なんかに行くと、一般の大学の中に美術学部が入ってるのが当たり前です。東京芸大ではなく、東京大学の中に、美術学部があるイメージです。そうすると、周りに社会学やってる人もいれば文学部も理系もいる中で、作品作るという環境になる。日本は残念ながらそうなっていないので、自分でネットワークを開拓していかなきゃいけないんですよね。先端芸術表現科って、「THE・芸術」みたいなクラシカルな表現からは距離がある学科だと思いますが、それだけでは足りないのではないかと思います。外にあるものと手を結んで、リンクしていって初めて意味があると思うんです。折角上野から離れてるので、別のところにもリンクを広げていってほしいなーと思いました。


Q.伊藤さんが務めてらっしゃる東京工業大学のリベラルアーツの学生は、他の学科の人に協力してもらうこともあるのですか?

A.そうですね。理系は基本的に一人でできる研究ではないんで、共同で研究がほとんどです。理系の方が、よりコミュニケーション能力が必要なんですよ。

やっぱり理系の場合って、問いがとても大きいんですよね。宇宙の起源だったりとか、人工知能だったりとか。人工知能の研究をしようと思ったら、脳も身体の構造も感覚のことも分からなきゃいけないし、プログラミングもできなきゃいけない。人と協力しながらじゃなきゃできない。

もちろん良くない面もあります。だんだん全貌が見えなくなってくるんですよ。大きなテーマがある中で、いま自分はここの部分を考えてるけど、それは何のためにしてることなのかをはっきりさせておかないと、研究が単なる作業になってきます。実は、私はそれが原因で文転したんです。共同研究しろとか言っときながら(笑)。自分のコントロールできる範囲内でいろんなこと考えたかったから文系に行ったんですが、でも文転してみると、文系もけっこう人と関わる必要が出てくるなと思いました。


Q.これからリサーチに意識を置きたいとき、どこから始めればいいのでしょうか?

A. リサーチを意識するには、問いをある程度抽象化する必要があります。たとえば何か自分にとって決定的な経験があるとして、でもそれは問いの一歩手前のきっかけみたいなものですよね。作品にするとき、それはどういう問いなのか、誰にでもわかる言葉でズバッと言ってみる。抽象化してみるんです。抽象化することによって消える部分もあるので、それも忘れずにおきつつ、でも1回抽象化してみると、他にも同じ問題考えてる人が見つかるんですよ。自分が抱えてる問題って大抵誰かも考えていて、その人がどういう方法でリサーチしてて、どういうアウトプットをしてるのかっていうのを見てると、自分のやるべきことが見えてきます。仲間や同志を見つけるために、問いを明確にするんです。


伊藤亜紗

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2016年07月04日

【WIP】コアが明かす!展示の裏側

会議の様子

WIP展は学生による運営メンバーが主体となって、展示をつくりあげていきます。今回は運営メンバーのなかでもコアと呼ばれる、中心メンバーに広報班よりインタビュー致しました。WIP展の舞台裏、そして卒展に向けた思いを皆さまにご紹介できたらと思います。


Q:先端芸術表現科によるWIP展(Work In Progress)では様々な媒体による作品が見られます。このように大規模かつ多様な表現が並ぶ作品展を、学生が主体となって運営する上で、一番難しい点はなんでしょうか?

A:一般的なグループ展示よりも人数が多い中で、個性の強い学生や作品をどのように配置し、作品をより良く見せられるかが一番苦労するところです。
また運営には、コアの他にデザイン、広報、会場、イベント、記録の5班があり、展示に参加する学生全員は必ずいずれかの班に所属しています。学生が展示をする当事者達が、約50人いる学生へ連絡、報告、アンケートの作成・実施・集計などを作品制作と同時に行っていくことは中々ハードなことであり、そこを配慮しながら統括していくのがコアの役目なのでそこは意識していますね。


Q:運営側から見た本展示の面白い点・例年とはここが違う、といった特徴はありますか?

A:「WORK IN PROGRESS-進行中-」というまだ作品が本決定していない、でも軸は見えかけているというような情熱がありつつまだ荒削りな作品の原石のようなものが見れる展示は中々ないと思っていますので、そこが楽しみにしていただきたい点ですね。
また例年とは違う点では、今年はチェロを演奏したり、火を使ったりと美術という枠に捕らわれない作品達が例年より多いと思います。7/2の時点ではまだ追い込み制作中なのではっきりしたことは言えませんが(笑)。私たち自身も楽しみにしています。


Q:このWIP展を通して、学生間ではどのような交流がなされるのでしょうか?

A:さきほど説明した班の中には学部4年生と修士2年生が均等に分けられているので、今まで話したことの無かった学生と話す機会にもなっていますね。また制作時期が重なる関係で制作場所で会ったり、大きい作品の運搬で倒れそうになっているところを助けたり(笑) 人によっては、とても面白い出会いになっていると思います。
またコアの中では修士2年代表の今井は行動力はありながらすぐに先走ってしまう部分があるところを、4年代表の黒松がそれに対して指摘したり諭してくれたり(笑)、学年関係なく助け合いながら運営できる交流が出来ているのではと思っています。


Q:WIP展を卒展2017に向けたどのような場になれば良いとお考えですか?

A:WIP展では作品を見せようとうまく取り繕わずに、今自分がやってきた最大限のことを惜しみなく出してもらえたら、と思っています。制作途中を展示として見せることはあまりない機会ですし、周りの目も気にしてしまう人もいるかもしれませんが、嘘の無い情熱が見せ、来場者や教授、学生間で各々の次のステップを話せる機会に出来たらと思っています。そしてそこで得た感触を忘れずに、卒業制作に繋げていっていただけたらと思います。


Q:本展示の内容をどう展開し卒展2017につなげていくのか、運営コアとして期待しているポイントや、具体的な話がありましたらお聞かせください。

A:WIP展の運営は、いわば卒展運営のための前哨戦のようなものです。今回得た様々な反省を活かして卒展運営に繋げていきたいですね。WIP展のテーマをそのまま持っていく学生、また頭を切り替えていく学生各々いると思いますが、どうブラッシュアップされていくのか、はたまた大変身するのか今から楽しみです。
また企画の中では卒展に若手のキュレーターの方々に来ていただき、交流出来たらという案も出ていて、卒展を通して若い作家、キュレーターが繋がる機会が生まれるかもしれない、ということにも今から楽しみにしていますね。


コアメンバーの皆さん、回答ありがとうございました。WIPの内側を垣間見れたところで、ぜひとも足を運んでいただき、「WORK IN PROGRESS-進行中-」な作家達の奮闘をご覧ください!

2016年06月01日

【WIP・卒展】公式情報SNS解禁!

SENTAN2017の各SNSが公開されました!
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また、このホームページも通して情報を更新していきますのでどうぞよろしくお願い致します。

 

 

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